道端科学の小箱
このページでは当実験教室で作成した実験機器や提供した実験などを紹介しています。気になった科学の話題も紹介する予定です。
プラネタリウムドーム

ドームは疑似半球殻で、赤道部の水平方向直径は2400 mmです。半球殻ドームとはいっても実際には球面は作れませんので、多面体で近似しています。材質はダンボール製で、強度を出すため通常よりやや厚手のものを使用しています。ダンボールを二等辺三角形のような形に切り出したものをぐるりと一周12枚貼り合わせています。幅は経度にして30度分になります。これを折ってとなり同士とくっつけて球殻にしていきますが、折り曲げる際には外側にあたる部分に切れ目を入れて内側に向けて曲げていきます。写真から、切れ目が入っているところから折れている様子がわかることでしょう。この折り目(切れ目)はダンボール1枚当たり5本あることも写真からわかりますが、最も下の折り目が地平線(赤道)の位置で、折り目は緯度にして15度ごとに入っています。ただ、75度の位置から上の天井部分(天頂部)は実際にはなく、別体になっています(2枚目の写真を参照のこと)。ダンボールを丸く切り出し、周囲から中央に向けてくさび状の切れ目を入れてこの切れ目をふさぐようにとなり同士を合わせて皿状の天頂部を作り、はめ込んでいます。上部(北緯75度の位置)に黒いフェルト布がかぶせられていますが、これははめ込み時にどうしても残ってしまうすき間を埋めるためのものです。したがって、上で「二等辺三角形のような形に切り出した」と書きましたが、実際には北緯75度から上のない台形のような形に切り出しています。

実際の製作では、ダンボールは900×1800サイズのものを20枚購入しました。大切なのは段ボールの筋が短辺方向に入っているものを選ぶということです(筋が緯線に平行になるため緯線に合わせてきれいに折ることができる)。また、ドーム内側は白色のものを選びましたが、表面にでこぼこががなくきれいであれば通常の「ダンボール色」でもよいのではと思います。切り出し形状については、直径(2400 mm)、構成枚数(12枚)、折り目間隔(緯度15度相当)を決めればあとは高校数学である三角関数の知識と関数電卓を使って決めることができます(高校生にとってはいい問題だと思います)。組み立て時はガムテープで貼り合わせていきますが、繰り返し使うことができるよう、ガムテープを貼るところにはあらかじめ保護用ベースとなる別のガムテープで補強しておきます。貼り合わせではすき間なくピッタリ合わせて貼り、光の漏れ込みを防止します。12枚を貼り合わせられたら適当な台の上に乗せます。ここでは丸椅子5脚を利用しました(出入口以外の場所に設置)。この時点では天井は開いていますので、作業が難しい上部の貼り合わせ部に容易にアクセスすることができます。その後、天井部分をはめ、丸椅子の上に乗せた結果開いた下部を覆うダンボールを切り出して(出入口は別体にする)はめると内部は真っ暗になり、ドームは完成します。

なお、製作に先立って設計に誤りがないことを確認するため、実物の1/6模型(直径400 mm)を工作用紙で作成し、設計に問題がないことを確認しました。組み立て手順を考える上でも有効でした。
(2025年1月9日)
2極モーター

悩んだのが、モーターの回転部分である回転子をどのようにするかでした。回転子はコイルを持っており、ここに電流を流すことで電磁石を作り、すぐ近くにある永久磁石と相互作用をすることで回転子を回転させる力を発生させます。回転ごとにコイルに流れる電流の向きを切り替える仕組みを設ければ常に一方向に回転させる力を発生させることができ、回転子は回転を続けます。
ただし、回転させる部品だけにそれなりの工作精度が必要です。まっすぐ作らなければならないところが曲がっていたり対称に作らなければならないところが非対称だったりするとうまく回転しません。

設計の考え方は2通りあります。ひとつは2つのコイルを縦並びに1本にしてそれに直角に2本の回転軸を固定すること、もうひとつは1本の長い回転軸に2つのコイルを軸をはさむように直角に固定することです。はじめに考えたのが前者(写真左側)でした。試作してみたところ、木製丸棒の回転軸2本をどのようにして曲がりもずれもなくコイル内部の金属製の芯に固定するかが難しく感じました。その点、後者(写真右側)では回転軸をきれいに出すことができます。そこで、こちらに取り組むことにいたしました。
問題は木の丸棒にどうやって鉄芯入りコイルを固定するかです。2つのコイル内部の鉄芯に発生する磁束線を無駄なく流すために、コイル同士は鉄で接続したいところです。コイルを接続する鉄で中央に穴があいているものといえばナットですが、直径5 mmの棒にM6ナットがうまくはまり、しかも空回りしないほどにピッタリであることに気づきました。あまりにもピッタリで実は差し込んだだけで接着ナシでほどよく固定されています。ナットの外形は六角形ですので、対向二面に垂直にコイルを固定できればOKです。固定面を大きくとるためナット2個をエポキシ接着剤ではり合わせ、穴に丸棒を通しました。なお、ナットの材質は接続するコイルの磁束線を通すため、鉄を採用しました。
コイルは、M4-15鉄ボルトにΦ0.4エナメル線(ポリウレタン銅線)を100回ほど巻きつけます。鉄ねじの先3 mmほどは回転軸への固定用に残し、コイルの両端にはワッシャーを入れてコイルがきれいに収まるようにしています。ワッシャーの材質は磁束線が鉄ねじだけに流れるよう磁性の弱いステンレスを採用しましたが、どちらでもいいかなと思います。
続いてコイルの固定です。回転軸の2連M6ナットの対向二面にM4鉄ナットをエポキシで接着します。そこにコイルの芯であるM4鉄ボルトをねじ込んで固定します。そして2つのコイルのエナメル線を、2つのコイルで電流の流れる向きが同じになるように線を選んではんだ付けします。こうすることで、コイルに電流を流した時に2つのコイルが1つの長いコイルのようにはたらきます。すなわち、長いコイルの両端の一方がN極で他方がS極となります。
残ったエナメル線の両端2カ所ですが、これは回転軸に固定します。細長く切った2枚の銅テープを互いに軸をはさんで向かい合わせになるように回転軸に貼りつけ、ここにエナメル線をはんだ付けします。この銅テープが電流の取入れ場所(整流子)になります。銅テープとしてはガムテープのような大きなものがホームセンターに売られていますが、高価なのに加えて必要量は5 mm X 20 mm程度なのでその意味でももったいない。そこで、スリーエムの小巻セロハンテープ級の大きさのものを使用しました。剥離紙付きで切り出しがラクです。銅テープの貼る位置はコイルが固定子の永久磁石に最も接近している(水平の位置)ときに軸の上側と下側となるように貼りつけました。


実際に乾電池1個(1.5 V)で動作させてみると、しっかりと回りました。期待したよりも早く、毎秒10回転程度ではないかと思います。今後の改良点としては先にも触れましたが、回転子の軸受けの摩擦を小さくしたうえで遊びを小さくして回転時の安定性を上げる点がありましょう。また、接触子(銅テープ)の大きさと貼る位置については、今回は幅5 mm(軸側面の全周の64%を覆う)の2枚のテープをコイルに対し位相を90度ずらした位置に向かい合わせで貼りつけていますが、このあたりの調整は回転子と固定子の間の磁力発生のタイミングに影響するため、、試行錯誤によって回転速度を上げられる可能性を秘めていると見ています。

(2025年4月3日)